ドロップスクリーンとは
指先に小さな針を刺してたった1滴の血液から41種類のアレルゲンに対する反応を調べる検査です。腕から注射で採血して測定する従来のアレルギー検査とは異なり、お子様や採血が苦手な方にも受けていただきやすいのが特徴です。
一度の検査で、花粉、食物、ダニなど41項目のアレルゲンを調べることができます。
ドロップスクリーン検査の特長
翌日に結果を説明いたします
これまでのアレルギー検査では、結果がわかるまで1週間程度かかっていましたが、ドロップスクリーン検査は大幅に検査時間が短縮されたため、翌日には再診していただき、結果をご説明いたします。
早く結果が出るので、より早く治療や適切な介入を行うことができます。
ドロップスクリーンの検査結果(サンプル)
こどもや採血が苦手な方も安心
指先に小さな針を刺してごく少量の血液を採取して検査を行います。短時間で済み、痛みも少ないため、安心して検査を受けていただくことができます。
当院では原則6歳以上の方を対象としております。
41項目のアレルゲンを測定可能
従来の採血によるアレルギー検査では、必要な項目を最大13項目まで選択するか、39項目のアレルゲンがセットになった検査で調べることができました。ドロップスクリーン検査では、41項目(ダニ・ハウスダスト・花粉などの吸入系等が19項目、食物系が22項目)のアレルゲンが同時に検査可能です。
(出典:日本ケミファ株式会社)
ドロップスクリーンの検査の流れ
- 診察の予約をお取りください。(どの予約枠でもお取りいただけます)
コメント欄に「アレルギー検査希望」と入れていただけるとスムーズです。
検査に時間を要するため、受付時間を制限させていただいております。
平日は17時まで、土曜は12時までにご来院いただけるように予約をお願いいたします。
また検査機器は1台しかないため、複数人の検査を同時にはできません。 ご兄弟など複数人で検査をご希望の場合には受付時間を調整いたし ますので、お電話でご相談ください。 - 医師の診察により検査の可否を判断いたします。診察の結果、より適切な診断のために別の検査方法をおすすめすることもございます。
- 指先から採血を行います。通常2-3分で終了します。
- 翌日以降に再診いただき結果をご説明いたします。
花粉症のアレルギー検査として
スギやヒノキなどの花粉症、ダニ・ハウスダストによるアレルギー性鼻炎を疑う場合にもこちらの検査をおすすめしております。
舌下免疫療法(スギ、ダニ)をご希望の方で、採血のハードルが高くなかなか検査に踏み切れなかった方にも安心して検査を受けていただけます。
食物アレルギー検査として
22項目の食物アレルゲンについて検査が可能ですが、当院では乳幼児の食物アレルギーの診断には使用いたしません。(※※)
丁寧な問診・診察と、検査が必要な場合にはプリックテスト(皮膚テスト)や疑わしい食品のみに絞って血液検査を行います。食物経口負荷試験を行うこともあります。
※乳幼児の食物アレルギー診断に用いない理由について、詳しく解説
離乳食を始める前や、保育園入園前などに、アレルギーが出る食品があるかどうかあらかじめ検査で知っておきたい親御さんもいらっしゃるかもしれません。
しかし、実際に食べて症状が出ていない状態で検査をしても、正しい診断ができないことが多いのです。
アレルギー検査では、「IgE抗体」といって特定のアレルゲンに対してアレルギー反応を起こす抗体があるかどうか、またどの程度の量の抗体が存在するかを調べます。
乳児期早期では、まだ抗体を産生する能力が低く、正確な診断につながらないことが多いのが理由の1つです。
また、ドロップスクリーン検査は、特に食物アレルゲンに関しては偽陽性 が出ることも多く、食物アレルギーの診断や治療経過の評価には向きません。
そしてIgEの値と、実際に摂取して症状がでるかどうかというのは、必ずしも一致しません。IgE値が高くても問題なく食べられるケースもありますし、IgE値が上がっていなくても食べると症状が出るケースもあるため、食物アレルギーの有無は採血の結果だけでは正確な診断ができないことが多いのです。
そうなると問題となるのが、「IgEが陽性になっている=食物アレルギーだ!危険だから食べないようにしよう」と早合点して、不要な除去をしてしまう患者さんがでてきてしまうことです。特にこれから様々な食品を食べすすめていく乳幼児期に、採血結果のみでアレルギーを判断してしまうと、本当は問題なく食べられるのに、不要な除去を何年もするようなことにもつながりかねません。また、すでに今まで問題なく食べられていたのに、検査をして陽性になっているのを見ると、急に不安になって食べさせるのが怖くなり除去するようなケースも出てきてしまいます。
こういった不要な除去は、親御さんの食事の負担を増し、こどもの栄養状態や発育にも悪影響を与えることがあるため、絶対に避けなければなりません。
このような理由から、食物アレルギーの診断および、乳児期のアレルギー検査に対しては、ドロップスクリーン検査を当院では基本的に使用していません。
View39項目アレルギー検査との比較
検査項目にわずかな違いがあります。38項目は共通ですが、View39にはカビのマラセチアが含まれ、ドロップスクリーンにはコナヒョウヒダニ、トマト、モモが含まれます。
またView39は5㏄程度の血液が必要となるため、従来のように腕から注射で採血を行う必要があります。
View39もアレルギーのスクリーニング検査としての意味合いが強く、食物アレルギーの診断や治療経過の評価に用いるには推奨されません。
ドロップスクリーン検査の費用について
- 当院では原則6歳以上の方を対象としております。
- 6歳未満の方は別途ご相談ください。
- 医療証をお持ちの高校生までの方は、検査費用の自己負担はありません。
- 一般の患者さんは自己負担割合に応じた費用となります。
よくある質問Q&A
ドロップスクリーンは何歳から使えますか?
検査自体は何歳からでも可能なものですが、結果の解釈や、診断・治療経過の評価をより的確に行うため、そして不要な食物除去を避けるためにも、当院では原則6歳以上の方を対象に検査を行います。6歳未満で検査をご希望の方は別途ご相談ください。
ドロップスクリーンは健康保険適用ですか?
保険適応の検査です。医療証をお持ちの高校生までの方は検査費用の自己負担はありません。3割負担の場合はおおよそ5,000円の検査費用がかかります。(その他、診察料、処置料がかかります。)
ドロップスクリーン検査の痛みはありますか?
指先に小さな針を刺して血液をとるため、多少の痛みはありますが、短時間で済む検査のため負担は少なくなります。抱っこしたままの検査が可能です。
大人でもドロップスクリーン検査は受けられますか?
大人の方でも検査可能です。ぜひご相談ください。
ドロップスクリーンで血液型は検査できますか?
血液型の検査はできません。別途、腕から注射で採血を行う必要があります。
ドロップスクリーン検査のデメリットは?
検査結果とご自分の自覚症状が必ずしも一致するわけではありません。症状がなくても検査で高い数値が出る場合や、その逆の場合もあり、結果の解釈には注意が必要です。特に食物アレルゲンに関しては偽陽性が出ることもあり、不要な食品除去につながらないよう、アレルギーに詳しい専門医のもとで検査を受け、正しい診断と治療に繋げていただく必要があります。