発熱外来
子どもの繰り返す発熱
免疫機能は成長に伴って発達していくものであり、特に乳幼児では免疫機能が未熟であることから、大人よりも発熱する機会が多くなります。
保育園や幼稚園に入園したての時期は、様々なウイルスにさらされ続けるために繰り返し発熱するお子さんも多くいらっしゃいます。免疫機能が悪いのではないかと心配される方も多いですが、これは子どもが免疫をつけている証拠ですから、あまり心配のないことが殆どです。
発熱時のチェックポイント
子どもの発熱の際に受診が必要かどうかを判断するポイントがいくつかあります。
1つでも該当する場合は、速やかに受診をしてください。
- 生後3ヶ月未満の子どもで38℃以上の発熱がある
- けいれんや呼吸困難を起こしている
- おしっこの回数や量が減っている
- 食欲がない、元気がない、夜の寝つきが悪いといった症状が続く
「なんとなくおかしい」という保護者の方だからこそ気づくサインもあります。上記に該当しないケースでも、症状に不安を感じたら些細なことでもご相談ください。
子どもの発熱時の対処法
子どもが発熱した時に、ご自宅でできるケアの方法をご紹介します。
水分補給
発熱によって普段よりも汗の量が増えたり、呼吸回数が増えると、体内の水分の消費が増えるため、体が必要とする水分量は普段よりも多くなります。
脱水状態とならないように、スポーツドリンクや経口補水液などでこまめに水分補給をさせるようにしてください。
消化のいい食事
無理に普段通りの食事をしなくても問題ありません。食事ができる場合は、消化が悪いものや刺激が強いものの摂取は控えましょう。
具体的には、リンゴ、バナナ、ゼリー、柔らかく煮たうどん、おかゆなどがおすすめです。また、固形物を食べられない場合には、ゼリー飲料、ジュース、ミルクなどを与えるだけでも大丈夫です。
体の温め方と、クーリングの仕方
子どもの手足を触ってみて、冷たくなっている時は熱が上がっていくタイミングです。子どもは寒気を感じているため、布団などで体を温めてあげましょう。逆に、手足の先までポカポカに熱くなっている時は熱が上がりきって、これから汗をかいてくるタイミングです。
首や脇の下、脚の付け根など太い血管のある場所を氷嚢や保冷剤などで冷やしてあげると(これをクーリングといいます)、子どもは気持ち良く過ごせます。汗をかいていたら、新しい服に着替えさせましょう。
よくある質問
子どもの熱が上がったり下がったりを繰り返していますが、一度病院を受診した方が良いでしょうか?
体温は、早朝は低く、夕方以降に高くなるという特徴があります。さらに、炎症抑制の効果がある副腎皮質ホルモンの分泌量は朝に多く、夜になるにつれて少なくなります。したがって、発熱の症状があっても朝は比較的体温が低く、夕方から夜にかけて体温が上がっていくパターンが多く見られます。
その他、入浴、運動、食事や授乳によっても体温が上昇することがあります。また、平熱は人によって異なりますので、発熱がない時に1日の内に何度か体温を測っておくと、おおよその平熱を把握することができます。 発熱があっても以下のような状態であれば一旦は様子を見る程度で問題ありません。
- 食欲があって水分もきちんととれている
- 機嫌が良い
- おしっこの量や回数に問題がない
- 遊んだり周囲のもの興味を示している
- 良く眠れる
熱があったらお風呂はやめたほうがいいですか?
基本的には体を清潔に保つことはとても大切なので、熱があっても元気にしていれば入浴しても構いません。ただし入浴は体力消費が大きいため、元気がなくぐったりしていると感じる時は、入浴を控えた方が良いでしょう。
機嫌がよく元気そうに見えても、熱めのお湯ではなく少しぬるめのお湯に短時間浸かるようにして、湯冷めしないように入浴後は暖かい部屋で身体を拭いて、すぐに服を着せるようにしてください。入浴後はしっかり水分補給させることも大切です。
発熱がある場合の受診の目安はなんですか?
- ぼーっとしていて呼びかけても反応が乏しい
- 苦しそうな呼吸をしている
- 体温が38℃以上で、元気がない
- そこまで高熱ではないが、機嫌が悪く泣き止まない
- 食事や授乳の量が少ない
- 発熱以外にも咳や嘔吐などの症状がある
- 発疹がある
いつも我が子に接している保護者の方だからこそ気づくサインもあります。上記に該当しなくても、何となく違和感がある場合は些細なことでもご相談ください。
高熱で脳がダメージを受けることはないのですか?
脳によって体温は制御されているため、体温が42℃以上となることは稀であり、発熱のみが原因で脳に悪影響が及ぶことはありません。しかし、脳で感染や炎症が起こると、脳炎や脳症によって障害に繋がることがあります。
熱が出るのは必ずしも発熱だけが原因となる訳ではありません。例えば、熱中症によって身体に溜まった熱を放散できないことがあり、これを「うつ熱」と呼んでいます。脳によって体温上昇が制御されていないため、42℃以上の高熱となることもあります。その場合、脳の障害や最悪の場合は命にかかわることもありますので熱中症が疑わしい場合は早めに受診をしてください。
解熱薬の使い方を教えてください。
解熱薬はあくまでも一時的に熱を下げて楽にしてあげるための「対症療法」にあたります。風邪を治す効果はないため、薬の効果(4-5時間程度)が切れれば、また発熱してきますし、平熱にするまでの効果があるわけではありません。また、熱は病原体の活動性を下げたり、免疫機能を活性化させるために有効な身体反応ですので、必ずしも薬で熱を下げる必要があるわけではないといえます。以上を踏まえて、適切なタイミングで解熱薬を使用していただけたらと思います。
具体的には、「熱が高くてぐずっている、つらそう」「熱が高くて食事を摂りたがらない」「高熱で寝辛そう、何度も起きてしまう」などの様子があれば、解熱薬を使ってあげると楽になり、体力も少し回復しやすくなります。
逆に熱が高くても、「食事がとれて比較的機嫌よく過ごしている」、「すやすや寝ている」などでは、わざわざ起こしてまで解熱薬を使用する必要はありません。