子どもの頭痛について

こどもの頭痛について

こどもの頭痛こどもでも、頭痛を訴えることは珍しくありません。中には就学前から頭痛を訴える子もいます。頭痛の起こる頻度が月に1度程度で、日常生活に支障のない程度であれば、自宅で様子をみてもよいですが、頭痛の頻度が多くなったり、頭痛のために学校を休んだり、寝込むなど日常生活に支障が出ることが増えた場合には、一度病院を受診していただくほうがよいでしょう。

こどもの頭痛のタイプと症状

大きく分けて、

  1. 片頭痛
  2. 緊張型頭痛
  3. 二次性頭痛(頭痛の原因に別の病気がある場合)

の3タイプが考えられます。

① 片頭痛

2時間~72時間続く頭痛で、痛みの始まりと終わりが比較的はっきりしています。大人の場合一般的には片側性の痛みのことが多いですが、小児では前頭部~側頭部の両側がズキンズキンと脈打つような痛みを訴えることが多く、片側性はむしろ少ないようです。吐気や嘔吐を伴ったり、光や音をつらく感じることもあります。不快な症状を伴って比較的強い頭痛を訴えるため、寝込んだり日常生活に影響が出ることもあります。歩行や階段の上り下りなど体を動かすと頭痛が悪化することも特徴です。
中には前兆を伴うタイプがあり、視界の一部がぼやけたり、きらきらする(閃輝暗点)
などの症状が、頭痛の始まる60分前~直前に起こることもあります。
片頭痛は家族歴が参考になることが多く、特に母親が片頭痛を持っている場合が多くみ
られます。

② 緊張型頭痛

片頭痛が発作的で強い頭痛であるのに対し、強くはないもののだらだらと続き、締め付けられるような頭痛が30分~長いと7日間程度持続します。頭痛の始まりと終わりがはっきりしないことが多く、締め付けられるような痛みや、頭の重い感じを訴えます。吐気や嘔吐を伴うことはなく、頭痛があっても日常生活を普通にこなせることが多いのも特徴です。
思春期になるにつれ多くみられる傾向がありますが、年少児でもストレスなどにより慢性的な緊張型頭痛を訴えることもあります。そのほか、肩こりや眼精疲労などが緊張型頭痛の原因となっていることもあります。

③ 二次性頭痛(頭痛の原因に他の疾患がある)

風邪、インフルエンザ、溶連菌などの感染症や、副鼻腔炎(蓄膿症)、虫歯などに伴い頭痛を訴えることもあります。その他、中には稀ですが重症度が高く早急な治療が必要なものとして、脳腫瘍や脳出血、水頭症、髄膜炎などが原因である場合もあります。
頭痛以外に、意識障害やなんらかの神経学的症状を伴うような場合、後頭部痛、頭痛の頻度が高い、一般的な鎮痛薬の効果が得られない、などあれば、一度病院を受診するようにしましょう。

こどもの頭痛の受診の目安

こどもの頭痛の受診の目安頭痛の起こる頻度が月に1度程度で、日常生活に支障のない程度であれば、自宅で様子をみてもよいですが、頭痛の頻度が多くなったり、頭痛のために学校を休んだり、寝込むなど日常生活に支障が出ることが増えた場合には、一度病院を受診していただくほうがよいでしょう。
また、毎日のように頭痛と嘔吐がある、ふらついたり手足が動かしづらい、物が二重に見える、症状が進行している、などの場合にも速やかに受診をしてください。

頭痛の治療方法

診察まずは規則正しい生活を送れているか、睡眠時間は十分にとれているかが大切です。早寝早起きが頭痛の予防には有効です。頭痛体操も有効と言われています。

こどもの頭痛で薬が必要な場合は、まずは解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン)が使われます。頭痛がはじまったらすぐに、(前兆を伴う片頭痛の場合には前兆がはじまってすぐに)、鎮痛薬を服用するようにしましょう。頭痛が本格的になってから内服しても、十分な効果が得られません。また片頭痛の場合には、鎮痛薬と一緒に制吐薬を使用することで鎮痛薬の効果が高まります。
片頭痛の頻度が高い場合には、予防薬を使用することもあります。

Q&A

こどもの頭痛は何科にいけばよいですか?

頭痛に関わる診療科は、脳神経外科、耳鼻科、眼科、歯科口腔外科、整形外科、精神神経科など多岐にわたります。原因がはっきりしないこどもの頭痛の場合には、まずは小児科にご相談ください。十分な問診を行い、診察による頭痛以外の症状や所見などから、検査の必要性や治療法を検討します。必要があれば各専門医へつなぐこともできます。

こどもの頭痛にカロナール®(アセトアミノフェン)は有効ですか?

有効です。こどもの頭痛に対して、まず処方される薬剤です。頭痛がはじまったらすぐに、前兆を伴う片頭痛の場合には前兆がはじまったらすぐに、内服するようにします。頭痛が本格的になってから内服しても、十分な効果が得られません。片頭痛の診断がついたお子さんの場合には、学校や外出先で頭痛がはじまった場合に備えてカロナールなどの鎮痛薬を持たせておくとよいでしょう。

こどもの頭痛に効く市販薬はありますか?

「アセトアミノフェン」や、「イブプロフェン」が有効です。市販薬で効果が得られにくい場合や、頭痛の頻度が高い場合には、一度病院を受診することをおすすめします。

こどもの頭痛で後頭部が痛い場合の原因は何ですか?

こどもの頭痛では、片頭痛や緊張型頭痛といった一次性頭痛(頭痛の原因となる疾患がない)であることがほとんどです。片頭痛の場合、大人と違い前頭部~側頭部の両側を痛がることが多いです。小さなこどもの場合は「真ん中」と表現することもあるでしょう。また緊張型頭痛では、頭全体を締め付けられるような痛み、痛みの場所がはっきりしない例もあります。これらの頭痛でこどもが後頭部痛を訴えることはまれで、後頭部痛を訴えるケースでは、二次性頭痛(頭痛の原因となる疾患がある)の可能性を考え、より詳しい検査を行うなど慎重な診断が必要です。

こどもの頭痛は熱を伴うこともありますか?

感冒やインフルエンザ、溶連菌感染症などの感染症の場合は、発熱に伴い頭痛を訴えることがよくあります。解熱鎮痛薬を使用し、安静にしていれば多くの場合は数日で回復していきます。高熱と頭痛に加えて、意識障害を認める場合には、髄膜炎などの重篤な疾患の可能性もあるため速やかに病院を受診してください。

こどもに頭痛薬を飲ませ続けて安全ですか?

イブプロフェンやアセトアミノフェンといった頭痛薬であれば、こどもにも安全に使用できます。使用頻度も、月に数回程度であれば問題はありません。週に何度も、あるいは連日使用するような状態が続く場合には、病院を受診するようにしてください。薬物乱用頭痛といって、解熱鎮痛薬の使用過多により、むしろ頭痛の頻度を高めてしまったり、薬の効果を弱めてしまうこともあります。月に10日以上、頭痛薬を使用しているような方は注意が必要です。

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